慰謝料に関する基本的な考え方
慰謝料の請求は、法律的には不法行為による損害賠償請求ということができます。財産的な損害(物が壊れた場合の修理費、亡くなった方が存命であれば稼いだであろう収入など)は、わかりやすいと思いますが、精神的な損害には、いったいいくら請求できるのかわかりにくい点があります。精神的損害の賠償を請求する場合の根拠は、民法第710条となります。遺族から請求する場合は、711条が、契約行為に関する慰謝料については、416条が根拠となります。
当サイトでは、精神的損害の賠償を主に扱います。
一般的に慰謝料額に影響を与える要素としては次のようなものが考えられます。
(1) 被害者の苦痛の程度
(2) 被害者の財産
(3) 被害者の職業や社会的地位
(4) 被害者の年齢
(5) 被害者の過失
(6) 被害者の利得
(7) 加害者の故意・過失
(8) 不法行為の動機・原因
≪参考条文(すべて民法)≫
(損害賠償の範囲)
第四百十六条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
(近親者に対する損害の賠償)
第七百十一条 他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。
≪参考にさせていただいた本≫
「我妻・有泉コンメンタール民法-総則・物権・債権-」我妻栄・有泉亨・清水誠・田山輝明著。株式会社日本評論社。2005年発行
「慰謝料算定の実務」千葉県弁護士会編。ぎょうせい。2002年発行
「慰謝料算定の実務 第2版」千葉県弁護士会編。ぎょうせい。2013年発行(以下「実務2」と略す。)
「実例 弁護士が悩む家族に関する法律相談-専門弁護士による実践的解決のノウハウ-」第一東京弁護士会法律相談運営委員会編著。日本加除出版株式会社。2013年発行